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【書評】イリュージョン

イリュージョン 最終版 マジシャン (角川文庫)

 

ストーリー

 この作品では、「マジシャン」に引き続き、桝城刑事とマジシャンの里見沙希が出てきますが、もう一人の主人公として、椎橋彬という人物が登場します。そして、この作品の大半は彼を中心とした話です。

 彼は、紙芝居を作るのが仕事だと言って全くお金を稼げていないロクでない父親と働いてはいるけど、盗みを働いていたり、借金を抱えていた母親がいます。

 15歳の頃、彼はこれまで養ってかかったお金を返すようせがんでくる母を見て、こんなひどい言葉を言う親とはもう一緒に暮らせないと、家を飛び出します。

 そして、ラーメン屋のテレビを観た時に万引き犯を取り締まる万引きGメンという職業に目を付け、身分、年齢を偽って警備会社でアルバイトとして働き始めます。

成金

 彼の特技はマジックで、学校ではクラスで権力を持っている生徒の機嫌を取ろうと出まかせを言っていたり、マジックを披露したりしていました。

 その経験で培ったことを活かして万引き犯を捕らえたことで、クライアントから信用を勝ち取り、万引きGメンとして働くようになりました。

 次第に名前が広がっていき、指名で駆り出されるようになっていきます。

 しかし、万引き犯を取り締まると同時に、彼自身も店の商品を万引きし、それを売っての繰り返しでどんどんお金を稼いでいき、生活基盤が安定していきます。

 しかも、彼をすっかり信用してしまったクライアントは実は彼がいない時の方が被害が少ないということに気付いていません。この現象はまさに本のタイトル通り、イリュージョンです。

 会社内でも出世し、講演依頼もバンバンくるようになり、万引きをしなくても大きいお金が手に入っていきます。

 その結果、彼は最初は住む所も食べる物もままならない状況であったにもかかわらず、当分の暮らしには困らないほどのお金が手に入ります。どん底から這い上がる。サクセスストーリーです。

読んでいてスリルがあった

 そんな彼をまだ未成年の状態で更生させるために桝城刑事が捕まえるべく動きます。

 自分がこれまで読んだミステリー系は刑事視点でストーリーを見るから警察官になった気分で読んでいるのですが、この作品は彼の視点で物語が進むから、自分が警察から逃げ回っているような感じがして面白かったです(もちろんフィクションだからそういう風に思っているのですが)。

 

 この作品は「マジシャン」を読んでから読むと良いです。

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